中国プロジェクト担当の神保雅人です。
『学生的上海』参加者の森 謙太君(商経学部 吉田ゼミ 4年生)から投稿原稿が届きましたので,代わりに掲載します。
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千葉商科大学 商経学部 経営学科4年
0630110番 森 謙太
学生的上海 感想
中国という国は、この数十年でアジアの顔から世界の顔に成長し、我々の生活にとっても切り離せない重要な国になりました。世界の工場と言われ、外国資本が集中して投入される市場。隣国でありながら、既存のイメージでしか捉えられていない私は、その現状を見るべく、この企画に参加しました。
上海浦東国際空港について、まず感じたのは、埃臭い空気でした。空港内外・高速道路・一般自動車道のいたるところで工事が行われており、醜悪な液体の垂れる風景からは、都市としてのインフラ発展に集中していることが伺えました。
今回の目的地である松江大学城は、7つの大学が集められており、各専門性に沿ったカリキュラムだけでなく、建物の外観もそれぞれのイメージを伝えてくれるものでした。松江大学城の大学に通う学生は、他大学の講座も履修可能であり、7つの大学から毎回専門性に特化した学習を受けられる環境には、驚きました。
上海立信会計学院の学生との2日間の交流によって、中国人学生の個人資本は、日本のそれと比べるとかなり低いことが伺えました。必要最低限なものは、そろえられていましたが、衣服等では個人を主張するような品は見当たりませんでした。しかし、それを補完するかのごとく大学の敷地内には、テニスコートをはじめ、バスケット、ゴルフ、サッカーグラウンドなどの運動施設が全ての大学に設置されており、図書館やPC環境も充実されていました。娯楽という面では物足りない環境ですが、彼らは本来的に求められる典型的な学習環境にあるのだと感じさせてくれました。
上海市街の観光では、世界都市といわれるだけあって、東京の都心部のそれとなんら遜色ないビル群があり、道路も広く取られていました。日本のような電車網は見られませんでしたが、9つの路線が工事中であり、ここでもインフラ発展が見受けられました。一点、疑問に思ったのは、マンション建設の過熱状態です。地価は右肩上がりで、投資対象としても注目させる上海のマンションですが、空の物件で一宅1億円~と言われ、1800万人の上海市民に、しかも地域的に見ると日本以上に高齢化が進んでいる状況で、いかように捌かれるのか。実際、上海の松江区にいくにつれて、マンションには数えるほどしか明かりが点っておらず、どういう形で決着がつけられるのか、今後も注視していきたいです。
世界的にも中国が発展を続けていっている答えは何か。今回、自分の目で見つけられたのは、中国の総合力であり統率力です。中国共産党による国営には、個人に対して一種の社会的活動の割り当てを感じることができました。農村地域で生まれ、都心に出稼ぎに来て、労働力を持って生業とするスタイル。都心部で生まれ、高等教育を受け、車を所有し、高層マンションで暮らすスタイル。両者は同じ国にいながら決して交わることのない生活スタイルを形成していました。この環境からは、社会的に安定した労働力の確保が可能であり、外資企業の参入を後押ししたのではないかと推測できました。
では、今後も成長を続け、中長期的に見てGDP世界一になることも予測できる中国ですが、日本は世界でどのようなポジショニングをとることができるのでしょうか。私は、現状の技術大国として、新技術を生み出していくポジションと同じに、広大な土地も労働力も必要ない「サービス」というソフトウエアが最適だと考えています。経済成長と連動してモノとカネがついていく新興国に対して、ヒトの育成を付加するというフィールドには、まだまだ、参入の余地があります。我々学生は、サービス創造の発信地として、国を形成することが求められ、それをもって日本は世界に存在意義を発揮するでしょう。